穀物からパンへ
なだらかな穀物畑を見ると、かつてはまばらで収穫しにくかった草の粒を食糧として利用するようになったのか、と誰もが考える。それもそのはず、それは何千年も前のことだからだ。
穀物を挽き、調理するための道具は、先史時代までさかのぼる。当時、世界のほとんどの地域で、人々は樫の木を集め、2つの石の間で粉にし、鍋で水をかけて苦味成分を取り除いていたのだ。そして、その粉を煮て、パルプ状にした。
樫の木の森が失われつつある今、栄養面では、採取が困難なイネ科の穀物が重要視されている。農業的な対策は、何世紀にもわたって収量を増やしてきた。また、穀類は「食の技術」にも特別な要求があった。
古代においても、穀物は酸を加えて焼き上げられ、現在のパンの前身である平たいパンが作られた。中世以降になると、穀物から糠を丁寧に分離することに特別な注意を払うようになった。特に小麦は、できるだけ白い粉を作るのが製粉業者の腕の見せ所だった。糠は家畜の飼料にしか使われず、人間が消費するのは飢饉の時だけだった。
現代の分析では、穀物の縁の層であるふすまには、フィチン酸などの栄養素を人間に吸収させるのを妨げる抗体があることが分かっている。外皮を取り除き、時間をかけて何度も生地を熟成させてパンを焼くことで、これらの物質が分解され、穀物がより健康に、より消化しやすくなるのである。
手がかり
学校でも会社でも、おいしくて栄養満点の「ブレークブレッド」。
焼きたてのパンにバターとひとつまみの塩を塗った通好みのパン。
おいしいパンは1日目もおいしいし、4日目もおいしい-でも違う。
著者 ブリジット・ノイマン
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